「いらっしゃいませ」
「今晩一泊したいのですが、ひと部屋空いてますか？」
「番頭さん、童貞さんがかわいそうに一人で泊まりたいらしいけど、まだ空きがありましたっけ？あのお部屋」
「さすがにこの時間で童貞ひとりきりじゃ、どこも無理ですからね。がってん承知しました！おかみさん、今からすぐ開けますんで大丈夫です！」
「道程はるばるありがとうございます！童貞温泉へようこそ！」
「いや、僕別に童貞じゃないんですけど」
「恥ずかしがることは無いですよ。番頭さんも童貞ですし、わたくしだって男に生まれていれば今頃はちょうど童貞真っ盛りです。」
「いや、本当に僕童貞じゃないんですけど。。」
「またまた、お客さん、そのなりで童貞じゃないって。リズム感の悪い黒人じゃあるまいし。とにかく温泉に入ってその身から出た童貞流してくださいな。」
「あ、はい。」
「やよいちゃん！童貞さん今からお風呂に入るから入れてあげて！」

蝉の声、鈴虫の声、カエルの声、あなたの童貞の産声。
岩にしみいる童貞のささやき。
全ては美しい音色であると同時にそれはノイズ。
浴衣がノイズとコラボした、ここに導き出された一つの結果。

浴衣×ノイズ＝童貞まさしく２１世紀の絶対普遍の方程式。